【秋冬の昆虫観察】日本情緒〜虫をめでる文化は、脳の発達にもつながっている!
秋といえば、さまざまな虫の声をイメージする方も多いかもしれません。
童謡にも、また百人一首やさまざまな文学の題材にもなっている虫の声。
実は、ここまで虫の声を愛でているのは日本人くらいではないか?とも言われています。
鳴き声をたのしむために、虫かごに入れた鈴虫なども昔から販売されています。
秋の夜長といえばやはり虫の声
どうよう&あそびうた ぎゅぎゅっと! 100うた [ (童謡/唱歌) ] |
虫の鳴き声、その周波数はヒトの耳が聞き取れる範囲をはるかに超えて、
比較的高周波の16000Hz前後成分が多く含まれるといわれる英語ロシア語などを上回っています。
脳は発達に伴い、使う言語や文化によって可聴音を徐々に狭めて最適化する
英語耳を育てるモーツァルト 〜魔法の音8000Hz [ (クラシック) ] |
日本語は、標準語では使われている音周波数は1500Hz前後で、
非常にこなれた音表現の人でもせいぜい3000Hzほど。
生れた直後には20000Hz前後まで聞き取れる人間の耳は、成長に伴い、主に言語文化によって、
聞き分けられる音色が徐々に狭まって固定されていくと現在は考えられています。
そのため日本語以外の言語のヒアリング能力、理解を増すためには、
音楽やその他の音を広く楽しむのが、英才教育上非常に有意義だとされているのです。
楽器によって出る音の周波数帯は大きく異なる
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もともと平安以降の日本では、宮中など限られた人以外は、
祭の練習や、地域での神にささげる舞台芸術などの目的でしか、あまり高度に発達した
楽器を用いることはありませんでした。
一方で、高貴な人たちの間では、非常に音周波数の広い各種の楽器も発達。
昔も今も、虫の声ならだれにも遠慮することなく手軽に楽しめる
鳴く虫の科学 なぜ鳴くのか、どこから音を出すのか、そのメカニズム (子供の科学・サイエンスブックス) [ 高嶋清明 ] |
楽器で音を聴こうと思うと非常に手段は限られますが、
これが虫の声では庶民も十分に楽しめるといった点、
そして日本には非常に数多くの個性的鳴き声の虫が多い点もあって、
虫を愛でる文化は、高貴な人々から庶民にも広がっているのです。
しかし虫の鳴き声を「声」として認識できているのは日本&ポリネシア人だけ!?
という研究も近年発表されています。
日本ではものまね文化も庶民にも高貴な層にも珍重された
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よく子供の言語や知識の習得方法は、ものまねにあるといわれますが、
高度な文化を持ちながら、虫や鳥といったいきもののマネをする芸が存在し、
古くから広く支持されているのも日本ならでは。
子供を神として大切にする文化土壌もあります。
通常の文化圏では、路上芸やお祭りの出し物的ですが、
日本では舞台上で演じられることも多い点も「こうした音色を愛でる」文化を表しているのかもしれません。
いかがでしたか?
とくに秋の涼しくなる時期は虫の鳴き声があふれます。
冬にかけて木の葉が落ちると徐々に動物の姿が見つけやすく、小動物や鳥の鳴き声も野山に多数。
親子でじっくり腰を据えてのネイチャーウォッチングを計画してみても良いかもしれませんね。