子供が「遊ぶ」ってどういうこと?小学生は遊びで「論理」を学んでいる
子供は遊んで育つものなのでしょうが、この考え方に
一体どれだけ根拠があるものなのでしょうか。
子供が遊ぶということにはどういう意味があるのか、
今回は研究者の説に耳を傾けてみたいと思います!
「遊び」を研究した学者たち
「遊び」について研究をしていた、歴史的に有名な学者が何人かいます。
今回は代表として二人を挙げてみましょう。
心理学のピアジェ
一人はピアジェという人です。
フランスの学者で、子供の発達や認知についての心理学者として、
特に子供の心理学の研究に大きな発展をもたらしました。
歴史のホイジンガ
もう一人はホイジンガというオランダの学者で、20世紀前半に活躍をした人です。
歴史や文化の観点から、「遊び」について考察したことで有名です。
研究者のみならず、子供が遊ぶことについては、
小学生などのお子さんを持つそれぞれの親御さんにも、
学者に負けず劣らず一家言ありそうです。
時にはお子さんが遊びに夢中になりすぎて困ってしまうこともあるでしょう。
確かに遊びすぎはよくないでしょうが、遊びを通して社会や文化を学んでいくものでもあるようですよ。
それでは、上記の二人の学者から見た「遊び」について、考えてみましょう。
ピアジェにとっての子供の「遊び」
ピアジェは心理学者で、特に子供の発達や認知過程の研究で知られています。
子供が赤ちゃんから成人になるまでの発達を段階に分けて考えました。
子どもたちは…(中略)…(スーパーヒーローなど)の真似をするごっこ遊びに没頭し始める。
…(中略)…おもちゃを使って、ごっこ遊びをより現実に近づけようとする。
引用: https://ja.wikipedia.org/wiki/子どもの発達
子供はごっこ遊びを通して、社会を学んでいるのですね。
7歳くらいまでこの段階を通して成長するそうです。
まだこの時期は自己中心的です。
では、小学生の年頃はというと、段々と論理的な考え方が身についてきます。
自己中心性も薄まって客観視も少しできるようになり、より大人に近づいていくのですね。
ここで大事なのは、子供は「遊び」でこれらのことを学んでいるということですね!
ホイジンガにとっての「遊び」
一方のホイジンガは名著「ホモ・ルーデンス」という著作で知られています。
「ホモ・ルーデンス」とは「遊ぶ人」という意味で、
「ホモ・サピエンス」(理性の人)とは反対の意味っぽいですね。
ホイジンガは歴史学者ですから、個人や子供の遊びというよりは、
歴史や文化の観点から「遊び」を研究しました。
遊戯が人間活動の本質であり,文化を生み出す根源だとする人間観。
遊戯は生活維持を求める生物学的活動を超え,生活に意味を与えるものであると主張される
引用: http://ja.wikipedia.org/wiki/ヨハン・ホイジンガ
なんとホイジンガによると、文化や風習、歴史など全てのことが
「遊び」によって生まれ、意味を与えているそうです。
(ちなみにホイジンガは「遊び一元論」などと揶揄されていました)
ちょっと極端な説のようにも思えますが、少しわかる気もしませんか?
「遊び」と「勉強」との関係は?
ホイジンガとピアジェの二人の異なる立場の学者から見た
「遊び」への考え方を紹介しました。
ピアジェはわりとすんなりと理解できそうですが、
ホイジンガはちょっと驚くような説を展開しています。
この二人の「遊び」に対する説、それぞれ面白いですね。
私達は普段、遊ぶことと勉強や仕事を対照的に考えていることが多いような気がします。
特に学校の勉強と遊ぶこととは、どうしても真反対に考えてしまいがちです。
ですが、この二人の学者の説によると、もしかしたら勉強よりも
大きな大事なことを「遊び」から学んでいるのかも知れない、と思えてきます。
ホイジンガ風の「遊び一元論」で考えると、勉強や仕事、社会などは遊びの基礎の上に成り立つもの、
というようにも考えることもできそうです。
勉強も遊びのうちの一つなのかも知れませんね!?
かなり簡単にサラッと二人の学者の説を見てみましたが、二人に共通していることは、
「遊び」をとても重要なことと考えていて、肯定的に捉えている点です。
遊びや社会、仕事、文化なども、もしかしたら子供の頃に
皆さんが遊んだ経験が基礎になっているのかも知れません。
子供は勉強だけでなく「遊び」をも通して、
気づかない内に社会のことを自然に学んでいるのですね。